フィンケ　トロンボーンについて

FINKE トロンボーンの背景と製作者

ドイツの楽器製作者ヘルムート・フィンケは、1950年代初頭からメタルブラス楽器の製造を始め、特にルネサンス期やバロック期の復刻楽器に注力しました。高級ホルン、トランペット、そしてポザーン（トロンボーン）の製造でも高い評価を得ています。彼の工房は、すべての部品を自社で一括製造する希少な方式を採用しており、音響や物理特性を科学的に追求する姿勢でも知られています。

手作りのこだわりと研究による進化

Finke トロンボーンは、すべてが工房手仕事による製作で、スライドやバルブなど細部に至るまで熟練職人の技術が光ります。特に、ドイツ工業物理研究所（Braunschweig）との長年にわたる協力により、科学的データに基づいた設計改良が続けられています。これにより、演奏性と音質両面の高い要求に応えた精緻な楽器が誕生しています。

Finke トロンボーンのラインナップと特徴

アルト・トロンボーン（E♭／B など）

• 重さ　約1.3 kg
• 管径　約12.5 mm
• ベル径　約180 mm
  黄真鍮とゴールド・ブラス両方の仕上げを選べ、高いバランス感と優れた操作性が魅力です。

テナー・トロンボーン

• 重さ　約1.4 kg
• 管径　アメリカ式 約14 mm、ドイツ式 約12.5～13.5 mm
• ベル径　アメリカ式 約215 mm、ドイツ式 約220～235 mm
  構造や音色の異なるアメリカ／ドイツ両スタイルを選べ、幅広い演奏ニーズに対応します。

クアトロ・トロンボーン（4本管バルブ付き）

• 重さ　約1.7 kg
• 管径　アメリカ式 約14 mm、ドイツ式 13.5 mm
• ベル径　アメリカ式 約215 mm、ドイツ式 220～235 mm
  バルブはボールジョイント式で、操作は軽く、流れるような音の変化が魅力です。

バストロンボーン（B／F／E♭／D 操作対応）

• 重さ　約2.5 kg
• 管径　約14.5 mm
• ベル径　約265 mm
  高い音響性を追求しつつ、鋼製バルブや調整可能なトゥーニングスライドなど、プロ仕様の仕様が多数盛り込まれています。

コントラバス・トロンボーン（F 管）

• スライド管径　約15 mm、全体管径　約16 mm、ベル径　約265 mm
  ヘビーな低音域に応える構造で、スイス製ハグマン・バルブなども装備可能です。

製造の流れと魅力

Finke トロンボーンは、設計段階から材料選定、管材の加工、バルブやスライド部の組立まで、すべて自社工房で行われます。これは、ドイツ国内でも数少ない一貫生産体制で、音響的・工学的知見を反映させた高度な品質管理が特徴です。職人と研究の融合が、楽器の精度と思いを形にしています。

まとめ

Finke トロンボーンは、創業者ヘルムート・フィンケの“伝統と科学の融合”という理念の下、楽器製作における技術と美学を兼ね備えています。演奏者の細かな求めに応えられる多様なモデル展開と、磨き抜かれた設計・製造体制は、プロ音楽家から古楽愛好家に至るまで広く評価されています。