デュラン　ポストホルンについて

E.F. Durandとは

「E.F.Durand（E.F. デュラン）」という名前の金管楽器メーカーは、広く知られた歴史あるブランドとしては資料が非常に限られています。トランペットやトロンボーンなど、安価な学生～入門向けの金管楽器で見られることがあるブランド名です。一部の中古市場やフォーラムでは、「中国製」「コピー楽器」として言及される例もあります。

また、E.F.Durand名義でトロンボーン（例　TB-1100N）やテナー・トロンボーン（例　1001N）が出品されている記録もあり、ホルン専門工房というよりは汎用的な金管メーカー、あるいはブランド名のひとつである可能性が高いです。

ポストホルンとは

ポストホルン（郵便ラッパ）は、歴史的に郵便馬車などで使われた小型のホルンです。ベルが比較的小さく巻きが少ない構造をもち、シンプルな形であることが特徴です。

18～19世紀のヨーロッパでは、郵便馬車の御者が手元に小さなホルンを携えて、音を鳴らして郵便の到着を知らせたという文化がありました。

音域は比較的限られており、現代の楽器とは異なる使われ方をしていました。

E.F.Durandとポストホルンの関係

現時点で、信頼できる資料を調べた限りでは、「E.F.Durand が製造したポストホルン（郵便ラッパ）」という具体的なモデルについての記録は確認できませんでした。Durandブランドは主にコルネットやトランペット、トロンボーンなどの金管楽器で見られるものであり、ポストホルンのような特殊なラッパ系楽器での製造実績・資料はほとんど存在しません。

また、Durandブランドの由来をさかのぼると、19世紀のパリにおける金管製作家 Pierre-Louis Gautrot（ゴートロ）とその事業の関係が見えてきます。ゴートロは1840〜80年代に活躍した製作家で、後に「Gautrot-Durand」と名乗る会社もあったといわれています。しかし、この系統のDurandはコルネットやホルンなどの伝統的な金管を主に作っており、ポストホルンが特に注力されたという証拠は弱いです。

なぜ「E.F.Durand ポストホルン」が話題になるのか

• 一部の買取・中古市場で「Durand ポストホルン」という記載が見られるが、それはラベルミス、ブランド名の混用、または楽器の仕様を誤認している可能性がある。
• E.F.Durandというブランド名自体が、歴史的な名門製造者ではなく、おそらく後年の大衆向けブランド、あるいはコピーブランドの一つである。
• 現存例や博物館資料、専門的な文献には、E.F.Durand製ポストホルンの信頼できる記録がほとんどない。

買取検討中のポイント

• 信頼性の確認　もし手元に「E.F.Durand ポストホルン」がある場合、製造刻印、シリアルナンバー、ラベルの有無などを詳しく調べることが重要です。
• 演奏性・構造　ポストホルンは特殊な構造のため、一般的なホルンやコルネットとは異なる音響特性があります。演奏性や音域を確認したうえで査定に出すとよいでしょう。
• 市場相場　E.F.Durand ブランドは価値が大きく偏っており、高額査定になる可能性は低いかもしれません。中古市場での実例を比較するとともに、専門の買取業者に相談するのが有効です。

結論

現時点で、E.F.Durand（デュラン）というブランドとポストホルンの組み合わせには明確な歴史的・技術的な裏付けがほとんどありません。多くはラベルや呼称の混同、あるいは誤掲載の可能性が高いため、買取を検討する際には慎重な確認が必要です。もし詳細なモデル名や実物の写真、刻印が分かれば、より具体的な査定・評価が可能になります。