金管楽器

マイヨン フリューゲルホルン

C.Mahillon

マイヨン フリューゲルホルンについて

マイヨンのフリューゲルホルンに宿るベルギー職人の伝統


ベルギーの名門C.Mahillonは、19世紀から20世紀初頭にかけてヨーロッパの金管楽器製作に大きな足跡を残したブランドである。創業者のシャルル・マイヨン(Charles Mahillon)は1849年にブリュッセルで工房を設立し、軍楽隊向けの金管楽器製作を中心に事業を拡大した。マイヨン家は音響研究にも熱心で、19世紀末には管楽器の音響理論と管長設計の研究で国際的に高い評価を受けた。彼らが手掛けたフリューゲルホルンは、当時のフランス式金管設計を基にしながらも、より柔らかく温かい響きを追求した構造で知られている。

 

 

マイヨン工房の発展と影響


C.Mahillonは単なる楽器製作者ではなく、楽器文化そのものを体系化した存在である。創業者の息子ヴィクター・マイヨンは、ベルギー王立音楽院と密接な関係を築き、軍楽隊用楽器の規格化を推進した。ブリュッセルのマイヨン工房は19世紀後半に急成長し、トランペット、コルネット、フリューゲルホルンを含む広範な金管ラインを展開した。特にマイヨン式ピストン機構は滑らかな作動と高い気密性を誇り、当時の他メーカーにも多大な影響を与えたといわれる。

 

 

フリューゲルホルンの特徴と設計


マイヨンのフリューゲルホルンは、ベルの開きが広く、管の内径がやや太めに設計されているのが特徴である。これにより、柔らかく丸みを帯びた音色と深みのある響きを実現している。フランス系のコルネットとドイツ系のフリューゲルホルンの中間に位置する音質を持ち、吹奏楽や室内金管アンサンブルにおいても自然なブレンド感を生む。また、初期モデルには三本ピストンを直線的に配置した構造が多く、後期には改良されたコンパクトバルブブロックを採用している。

 

マウスパイプの角度は比較的水平で、ベル方向への抵抗を抑えるように設計されており、柔らかいブレスでの発音にも即応する。これにより、少ない息でも温かい音色を引き出せる点が評価されている。

 

 

音色傾向と演奏感


マイヨンのフリューゲルホルンは、その時代の中でも特に音色の均一性と遠達性に優れていた。高音域でも過度に鋭くならず、低音域では深みと温かさを両立する。これらの特性は、マイヨンが管厚と材質選定に極めて慎重であったことを示している。真鍮素材のほか、ニッケル合金を加えた個体もあり、金属の比重バランスによって音の密度をコントロールしていた。現代のプレイヤーがこれらのビンテージ楽器を手にすると、その音の伸びと反応性に驚かされることが多い。

 

 

製造年代と識別のポイント


C.Mahillonの楽器はベル部分に美しい筆記体の刻印が施されており、「C.Mahillon Bruxelles」の文字が鮮明に確認できる個体が多い。刻印の下部に番号が打たれている場合、それが製造ロットや年代を示す手がかりとなる。19世紀後半のモデルでは大文字のCとMを組み合わせたロゴ、20世紀初期のモデルではやや小型化された筆記体ロゴが見られる。加えて、バルブケーシングの根本にある番号や真鍮合金の色味からも製造期を推定できる。

 

 

現存個体の希少性


マイヨンのフリューゲルホルンは現在、博物館や古楽器コレクターによって大切に保管されている例が多い。ブリュッセル楽器博物館には同工房製のコルネットと並び、19世紀末のマイヨン製フリューゲルホルンが展示されている。現存する可動状態の個体は数が少なく、修復品として市場に出る際には希少価値が高い。

 

 

買取査定で重視される要素


買取を検討する際は、以下の項目を確認することが重要である。

 

  1. ベル刻印の明瞭さ 刻印の擦れや消失が少ないほど評価が高くなる。
  2. ピストンの動作 マイヨン式ピストンは精密な設計のため、摩耗や腐食の影響を受けやすい。
  3. 主管とベルの状態 凹みや歪みが少なく、金属疲労が進行していないか確認する。
  4. オリジナルパーツの有無 マウスパイプやボトムキャップが交換されていないかをチェック。
  5. メッキまたはラッカーの状態 剥がれや変色がある場合、修復履歴を明確にすると査定が安定する。
  6. 製造番号の確認 ベルまたはバルブケーシングに刻印された番号は真贋判定に役立つ。

 

これらの項目を整えたうえで、アンティーク金管を扱う専門店に査定を依頼するのが望ましい。古楽器に精通した店舗であれば、コレクター需要や演奏家向けの販売経路を考慮した査定を受けられる。

 

 

保存とメンテナンスの注意点


マイヨンのフリューゲルホルンは、真鍮合金の表面保護が非常に重要である。湿気や酸化によりベル縁が黒ずむことがあるため、柔らかい布で乾拭きを行い、保管時には乾燥剤を使用するのが理想的である。ピストンには軽めのオイルを定期的に塗布し、内部に水分を残さないようメンテナンスすることで、長期にわたり滑らかな動作を保つことができる。

 

 

歴史と音の魅力を継ぐ楽器


C.Mahillonのフリューゲルホルンは、19世紀ヨーロッパの音響哲学を現代に伝える貴重な遺産である。ベルギー的な繊細さとフランス式設計の柔らかさが融合した音色は、他に類を見ない独自の響きを持つ。演奏用としても鑑賞用としても高く評価され、現在でもビンテージ金管の中で特に注目されている。

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2024.12.21

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2024.06.01

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